 ビクトリノックス ピクニッカーNL 「スイスアーミーナイフ」の有名メーカー、VICTORINOX社の多機能ナイフ。刃長80mm。80g。 メインブレード(ナイフ)、コルク抜き、缶切り、栓抜き、マイナスドライバー(小)、マイナスドライバー(大)、 ワイヤーストリッパー、リーマー(穴あけ)、キーリング、ピンセット(毛抜き)、ツースピック、ソーイングアイ(糸穴) 以上12機能のうちで僕が最も使うのは当然ナイフ。次いでコルク抜き。旅で缶詰を食べることは滅多にないし、 最近の缶詰は缶切り不用だ。栓抜きも、リーマーもまず使わない。キーリングとか、ソーイングアイにいたっては、 一度も使ったことがない。 で、いらない機能だらけのこのナイフをなぜ使っているかといえば、ブレード(刃)に充分な長さがあり、薄くて、 ロックが利くからだ。ロック機能のないフォールディング・ナイフ*1は使用していて不安があるが、多機能ナイフで ロック機能がついているモデルは少ないのが現実。べつに多機能ナイフにこだわっているわけではないが、 手ごろなサイズでかさばらず、軽量なフォールディングナイフがなかなか他にない。コルク抜きもしっかりしていて、 別々に持つよりも体積が減る。もっと機能数の少ないナイフがほしいくらいだが、ラインナップにない。 値段は3000円前後で、性能のわりにはお買い得。しっかりと研げば切れ味も悪くはない。 *1 折り畳みナイフ。
 アル・マー SOFアタックS(セレーションなし) アメリカ合衆国特殊部隊所属と、ガーバー社のデザイナーの経歴を持つ中国系三世、 アルフレッド・クラーク・マー氏デザインによるシース・ナイフ*2。
全長265mm、刃長145mm。本体240g。鞘(携帯砥石付)130g。 鋼材440C、ハンドル材グリーンマイカルタ。 日本一周の旅以前から長年、旅に持ち続けていたが、料理以外に使ったことがないので、最近では 持って行かないことにしている。料理ならば上のスイスアーミーのほうが使い勝手が良いし、もっと言うなら、 包丁に鞘を作って持って行くのが一番良い。 もちろん、多くのナイフの中ではかなり実用的な一本ではある。刃の厚みが最厚部でも4mmと薄いので、 料理用としても使いにくくはない。厚みが6mmあるサバイバルナイフ(正確に言えば米軍のM9銃剣)を 使って野菜を切ったときには、切れるよりも先に割れていった。無人島でサバイバル生活をするのでもない限り、 重厚なナイフは必要ないと言える。ただ、旅の雰囲気としてナイフを持っていたい気持ちは分かるし、ある。 値段は年々上がり、2007年、35700円。僕が買ったときは30000円以下だったと思う。 *2 ブレード(刃)とハンドル(柄)が一体型のナイフ。シースとは鞘(さや)の意味。
 三州 足助重光作 鉈(特注により名称なし) 実用一点張りの打ち刃物を製造する足助重光氏製作による特注の鉈。 全長440mm、刃渡り256mm、刃厚6mm。本体570g。鞘170g。全鋼。両刃。12500円。 ナイフ以上に、旅には鉈が役に立つ。まあキャンプ場だけでテントを張る人間には必要ないが、 野宿で焚火をしたい者には必携である。日本一周の旅の後半から、近年まで、ずっと旅に持っていた。 ニュージーランドにも持っていっている。 鉄(鋼)の切れ味はやはり、ステンレスよりも遙かに優れている。さんざん流木や材木を割った後にも、 腕の毛が剃れるほどだ。試しに手首ほどの太さの竹を切ってみたが、見事一発で切れた。もちろん腕前も必要。 全鋼(通常は軟鉄で鋼を挟み込む構造)なので、硬い地面にテントのペグを刺すときに、峰でガンガン 叩いて刺したりしていた。そんなふうにラフに扱っていたため、一度柄がぐらついたことがあったが、 製造所に持っていき、無料で直してもらった。そのあたりは当然のことと認めてくれるところが、日本の職人魂である。
 佐治武士作 鬼夜叉改(特注品) 「伝統工芸士」の肩書きを持つ越前打ち刃物の匠、佐治武士氏製作による特注の剣鉈。 全長465mm、刃渡り300mm、刃厚6mm。本体595g。鞘170g。 白紙多層鋼。両刃。糸巻黒漆塗り鞘。40000円。 数多くの種類の鉈とナイフを精力的に製作している佐治武士氏は、個人のオーダーメイドも 受け付けてくれているので、「鬼夜叉(おにやしゃ)」という型の剣鉈の切先形状を変えたものを作ってもらった。 ハンドルをブレード一体のパラコード巻き仕様にしたのは、長旅の途中でガタが来る心配を無くすためである。 本来ならば、鉈は衝撃吸収性のある木材柄のほうが好ましいというが、使用感は悪くない。 軍用のナイフにも採用されているパラコード巻きのハンドルは、実用性が高い。 切れ味は言うまでもなく素晴らしい。白紙*3よりも硬度の高い青紙*4という鋼材もあるが、ハードな使い方をする 鉈には不向きと言われる。硬い分、欠けやすい。特に気温の低いときの扱いには注意が必要となる。 正しく製造されていれば、切れ味は材質よりも、研ぎ手の腕前に掛かってくる部分のほうが遙かに大きい。 気にしない人間にはなんら欠点にならないが、多層鋼のこの仕上げは傷がつきやすいし、汚れも付着しやすい。 研磨剤を使って磨けば、細かい傷ならば落ちる。錆びさせないためにも、細かい傷や汚れはすぐに落としたほうが良い。 美しすぎて観賞用にしている人間も多いだろうが、僕はどんどん実用で使っている。と言いたいが、ヨーロッパの旅では 焚火のできる機会が少なく、もっと使いたくてうずうずしている。 鉈としてはここまで大型のものは必要ない。これを旅に持っていくのは単に僕の好みの問題だ。 なお、切れない刃物は危険なので、きちんと研ぐこと。自分で研ぐのは難しいが、旅人ならば自分で研ぐべき。 フルサイズの砥石を持ち歩くのは大変なので、シャープナーや小型の携帯砥石を持っていくとよい。 *3 *4 ともに、日立金属安来工場で生産される安来鋼(やすきはがね)の種類。ある程度以上高価な鉄製刃物には ほとんどこの安来鋼が使用されていると言ってよい。白紙と青紙でどちらが良いかは、鍛冶職人との相性もある。
ナイフ・鉈の選び方 総論。 1.旅にナイフは必需品ではない。包丁のほうが実用的。 2.持つのだとすれば、薄刃のナイフで、あまり大型でないもの。 3.焚火をする人間にとって、鉈は必携品。 4.切れ味はステンレスよりも鋼。ただしきちんと手入れをしないと、錆びる。 
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